一方、水蒸気の凝縮に関して従来から多くの研究がなされているものの、大量の不凝縮ガスを含む水蒸気の凝縮ならびに高圧下での炭酸ガスの凝縮特性に関する研究例は少なく、排ガス凝縮伝熱技術に関する基礎データを取得し、排ガス凝縮器設計手法を確立する必要がある。
3.3.2排ガス凝縮器の製作
1)排ガス凝縮器の設計
(1)まえがき
熱交換器形式には多管式熱交換器をはじめとし、二重管式熱交換器、渦巻式交換器(管式、板式)、プレート熱交換器、プレートフィン式熱交換器など様々な形式があり目的に応じた熱交換器形式を選定し、要求仕様に対する熱的及び機械的設計にもとづき製作、使用されている。一般的に凝縮器としては、多管式熱交換器、渦巻式熱交換器が使用されているが、多管式熱交換機器が最も広く用いられている。本計画の凝縮器は可能な限りコンパクトなことが望ましいものの、以下に述べるように凝縮排ガス条件が250℃〜280℃、5〜7MPaと高温・高圧であるため多管式熱交換機器を選定し基本計画を行った。
(2)基本計画
海中動力源試作システムのヒート・マスバランス検討結果より、排ガス凝縮器に要求される仕様を表3.3-1に示す。
排ガス組成はモル分率でCO2 51%、H2O 49%、その他成分が0.4%以下となる。H2O-CO2混合蒸気凝縮過程の温度一圧力線図の圧力7MPaの例を図3.3-4に示す。7MPa,280℃の排ガス過熱状態であり、冷却され240℃になるとまず水蒸気が凝縮し始める。凝縮に伴い水蒸気の分圧が低下しその飽和温度が下がるため、さらに凝縮させるには冷却して蒸気温度を下げなければならない。蒸気温度が7MPaのCO2の飽和温度である28.5℃になった時点では蒸気の99.9%以上がCO2であり、28.5℃でCO2が凝縮する。蒸気温度がこれ以下に低下すると圧力はCO2の飽和曲線に沿って低下するため、冷却量を調整して蒸気温度を27.8℃、蒸気圧力7MPaに保たなければならない。
すなわち、水蒸気は24℃〜28.5℃で凝縮し、CO2は蒸気温度28.5℃の一定温度で凝縮する。これに対し圧力5MPaの場合の水蒸気は240℃〜24.5℃で凝縮し、CO2は蒸気温度14℃一定で凝縮させる。ここで、排ガス凝縮過程においてH2O凝縮部ではCO2が不凝縮ガスとして作用しH2Oの凝縮を阻害し、さらにC02凝縮部においては凝縮したH20が凝縮面上に水として存在すると、CO2凝縮性能が低下する。そこで、排ガス凝縮器の基本設計指針としてH2O凝縮部とCO2凝縮部に対し各々凝縮器を設け、H2O凝縮器出口部(CO2凝縮器入口部)でH2Oドレンを分離し、CO2凝縮器の凝縮性能の向上を図る。排ガス凝縮技術における評価試験では、排ガス側凝縮熱伝達率の評価ならびに設計データ取得を目的としている。実機では凝縮器冷却水とエンジン本体の2次
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